がん治療中のアピアランス（外見）サポートと関連アイテム

抗がん剤の副作用の中に脱毛や色素沈着などの皮膚障害によって、治療中、容姿の変化を余儀なくされることがあります。近年、がんの治療中も以前と変わらず仕事や社会とつながる機会が増えていることから、アピアランスケアは療養生活に重要な要素であると注目を集めています。ただし、必ずしもアピアランスケアをしなければならないということではありません。例えば、外見の変化によって身体的、精神的ストレスを感じていたり、仕事や日常生活を過ごすうえで支障をきたすなど、ご自身のQOL（Quality of Life；生活の質)に応じて必要な範囲で対応しましょう。

ここでは、アピアランスケアのための参考になる情報（監修：美容ジャーナリスト山崎多賀子氏）とともに編集部セレクトによる関連商品を紹介します。

※脱毛や皮膚障害の対処法については、サイト内でそれぞれの症状に対するセルフケア方法を紹介しています。

頭髪のケア
眉毛　まつ毛のケア
爪のケア
メイクアップ・スキンケア
みんなのコメント広場

頭髪のケア

ウィッグ

頭髪の脱毛中、ウィッグ、帽子などの着用は、頭皮を保護するためだけではなく、容姿の変容を調整することで精神的負担の軽減や社会への積極的参加等、QOLを維持するための役割もあります。
ウィッグの購入は、治療中の負担にならない予算、かぶり心地、自分に似合う（ステキに見える）ヘアスタイルの３つを基準に選びましょう。
脱毛中の頭皮への配慮がされた「医療用ウィッグ」を選ぶ場合は、「Med・ウィッグマーク」という認証マークがついているJIS規格を参考にして選ぶとよいでしょう。

医療用ウィッグに関する情報

医療用ウィッグに関するさまざまな情報が以下のサイトから得られます。

国立がんセンター中央病院

「アピアランス支援センター」では、株式会社東京義髪整形と開発した”ウィッグな帽子”を紹介しています。売り上げの10％は患者さん支援のため、国立がんセンター中央病院の研究活動に使用されます。

がんを学ぶ（ファイザー株式会社）

「がん患者のウィッグ選びと頭皮ケア」では、ウィッグを準備するタイミング、選ぶポイント等を紹介しています。

がん患者さんのウィッグ選びと頭皮ケア～がん患者さんのお悩み相談室｜がんを学ぶ｜ファイザー

がん（癌）の患者さんのための「お悩み相談室」です。「ウィッグ選びと頭皮ケア」について解説しています。抗がん剤治療中は地肌が敏感なので、やさしく洗います。治療後は頭皮をマッサージするように刺激を与えましょう。＜がんを学ぶ　ファイザー株式会社＞

がん情報ナビ（日経BP社）

「医療用ウィッグの失敗しない選び方」では、医療用ウィッグの種類や特徴、購入する際の留意点を紹介しています。

「医療用ウィッグ」の失敗しない選び方

外見に大きな変化をもたらす脱毛は、女性のがん患者の悩みの中で常に上位を占める。脱毛対策として多くの患者が利用しているのがウィッグ（かつら）や帽子、バンダナなどだ。なかでも医療用ウィッグは精神面での効果も高いといわれるが、高価なものだけに利用を迷う人も少なくない。そこで、医療用ウィ

医療用ウィッグ商品の一例

ウィッグの購入はウィッグを着用する期間や予算等に合わせて利用しましょう。多くのウィッグ提供メーカーでは、ショップあるいは通販の場合も自宅で無料試着が体験できます。いろいろ試して決めましょう。

＊以下にバナー広告と簡単な説明を記載します。

ラフラ
（株式会社アデランス）
自宅や病院での無料試着体験ができます。試着の他にウィッグの使い方やアレンジやヘアケアについて等、医療講習を受けた専門のスタッフが説明します。

女性用オーダーメードウィッグ試着体験

AQUADOLL VENUS
（株式会社クロスオーバー）
ウィッグ通販「AquaDoll」。100%総手植えのため通気性がよい、伸縮性のあるネットを使用しているため軽くて疲れない、また人毛のような毛質と自然なつむじが特長です。20,000円前後から販売しています。

医療用AQUADOLLVENUSウィッグ

ライツフォル
（株式会社ライツフォル）
癌などの化学療法(抗がん剤)により、脱毛でお悩みの方々からの声で生まれた高品質の医療用かつら。自宅で医療用ウィッグ2つを試着することができます。医療用男性ウィッグや帽子のようにかぶれる”ウィッグに見える帽子”も提供しています。

医療用かつらを自宅でお試し！話題の試着ウィッグ【ライツフォル】

医療補正具購入費助成事業

医療用ウィッグを購入した場合、助成金が出る自治体があります。詳しくは各自治体のWebサイトでご確認ください。

帽子

帽子もウィッグ同様、外見をカバーするだけではなく、頭皮を保護する役目を持ちます。外出の時はウィッグ、家の中で過ごす時は帽子と使い分ける方もいます。帽子についても脱毛中の頭皮に配慮したケア帽子が販売されています。

ケア帽子の商品例

”Tao Caps（タオキャップス）”は、乳がんサバイバーの村田里依さん（株式会社Tao Corporation代表）が抗がん剤治療の経験をもとにケア帽子を開発しました。筒型の形状のため頭頂部が開口し、蒸れを軽減してくれます。また、被り口は蒸気で縮む素材を使用しているためフィット感もあり、長時間着用できるのが特徴です。

ケア帽子　<広告＞

乳がんサバイバーが開発！

「過ごしやすいから、これを選びました。ケア帽子”Tao Caps”」

詳しくはこちらから（外部リンク）

眉毛　まつ毛のケア

眉毛やまつ毛が抜けた場合、ごみやほこりが目に入ることを防ぐためメガネやサングラスを着用するとよいでしょう。とくにまつ毛の脱毛中は普段よりも日光がまぶしく感じられます。UVカット効果のあるメガネやサングラスがよいでしょう。
メガネはフレームを強調したデザインを選ぶと、まつ毛や眉毛の脱毛が目立ちません。

眉毛は眉ずみで補整します。眉の脱毛中は芯が細くて硬いペンシルタイプよりもパウダー状のアイブローパウダーのほうが自然で肌に色がのりやすい傾向にあります。もし、パウダータイプも色がのらない場合は、芯が柔らかくて太めのクレヨンタイプは肌への密着力が高くおすすめです。全体をパウダーで仕上げ、眉尻など細かい部分をペンシルで仕上げるなど、工夫するとよいでしょう。
肌表面だけを染色し、洗顔しても数日間色が消えにくい眉ティントというものもあります。
どう眉を描いてよいかわからない場合、眉用のガイドを試してみるとよいでしょう。

アイブロウ商品の一例　<広告＞

リンク

まつ毛は黒のアイシャドウやアイライナーで上まぶたの縁を描くだけで目元がはっきりします
まつ毛を演出するために、つけまつげを用いても構いません。その場合は、アイシャドウやアイライナーを引いてから装着すると自然です。また、使用前に接着剤のパッチテストを行いましょう。

爪のケア

治療の副作用により爪が乾燥するなどして割れやすくなります。爪を保護するために保湿用ハンドクリームや保湿オイルで爪や指先全体をこまめに保湿するとよいでしょう。

ひび割れの予防や変色をカバーしたい場合、市販のマニキュアを塗ります。重ね塗りをすることで爪が強化されます。爪を強化する専用のトップコートも市販されています。
有色を好まない場合は、爪に近い色のマニキュアを塗りましょう。仕上げにマットタイプのトップコートを重ねると、マニキュア特有のつやを抑えることができます。
爪への負担が気になる人のために、水で落とせるマニュキアや低刺激性の除光液があります。ただし水に落とせるタイプのマニキュアの中にはアルコールを使用するものもあるので、アルコール過敏症の方には注意が必要です。
マニュキアや除光液の使用後はハンドクリームやオイルで保湿します。

手袋をはめることも爪の保護になります。爪先だけを保護する手袋も販売されています。
脆くなった爪を切るときは爪切りより爪やすり（ネイルファイル）を使用します。

メイクアップ・スキンケア

顔全体のくすみなどが気になる場合にはファンデーション類でカモフラージュします。とくにくすみや赤みが気になる場合は、肌色補正効果のある色付き化粧下地（コントロールカラー）もおすすめです。強いくすみを抑えたいときはオレンジ系、肌をトーンアップさせたいときはピンクベージュ系、赤みを抑えたいときはグリーン系など、色によって異なる効果を発揮します。
シミや肝斑、クマなどの部分的な肌色のカバーにはコンシーラーを使用します。
口紅は肌がきれいに見える色を選びます。暖色系の口紅やチークを使用すると血色がよい印象が出ます。
リップは口紅以外にもリップクリームを使用することでつやのある唇の印象を出させるだけでなく、保湿にもなります。

スキンケア商品を顔に塗布するときは、過剰にこするなどの刺激を加えないようにします。
洗顔料による洗顔は、一日二回まで。肌が乾燥している場合は、朝はぬるま湯ですすぐ程度にしましょう。
治療中は肌が乾燥しがちです。皮膚のバリア力を高め日中のダメージから守るためにも、夜だけでなく、朝も保湿剤でたっぷりうるおいを与えましょう。愛用のスキンケアで違和感がなければ、特に敏感肌用を使う必要はありません。
肌が敏感になっているときのクレンジングは、摩擦を避けるためにティッシュでふき取るタイプより、洗い流すタイプのほうがおすすめです。
全身のスキンケアについては当サイト「抗がん剤の副作用による皮膚障害　対処法と関連アイテム」をご参考ください。皮膚にとって必要な保清、保湿、保護のセルフケアを紹介しています。