resilience

がん療養生活に必要なレジリエンス 育むために大切なこと

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公開日:2021年12月8日

更新日:2023年8月14日

がん患者さんのこころのケアに関連して、“レジリエンス”が注目されています。レジリエンスは、ストレスに対してしなやかに折れないこころで乗り越える力を言います。ここでは、がんと診断された後から生じるこころの変化について、また、自分らしく療養生活を過ごすために必要なレジリエンスを促進するための要因や、その具体例ついて紹介します。

レジリエンスとは

人は、がんと診断された直後から健康を失ったことに対する怒りや悲しみなど様々な感情が表れ、その影響が不安や倦怠感、不眠などの体調の変化に及ぶこともあります。しかし、時間が経つとともに徐々にがんになった現実を受け入れるようになると、これからの人生をどのように過ごしていくかについて考え、やがて新しい価値観・世界観を見つけだすことができるようになります。

しなやかで折れないこころを回復する、あるいは獲得しそれを維持する力を “レジリエンス(Resilience)”と言いますし、新しい価値観、世界観の内容を“心的外傷後成長”と言います

心的外傷後成長は人生の中で非常に困難な体験を耐えた時に現れる前向きな気持ちの変化です1,2)。困難な体験に向き合いながら、自然と新しい価値観・世界観を見出す力は誰にでも備わっています。 がんと診断され、これまでの価値観がイメージできなくなってしまった後も、多くのがん患者さんがレジリエンスを顕著に表すと言われています2)。がん患者さんはストレスと向き合い、その影響を最小限に抑えるための対処を通じて、ポジティブな感情や成長を経験することがあり2)、それらの経験は、これからの人生を過ごすうえで新しい価値観・世界観を見出すきっかけになっています(図1)。

この新しい価値観・世界観の中には、以下の例が含まれています2、3)

  • 人生への感謝…人生へ感謝の気持ちが高まる。
  • 新たな視点…人生に終わりがあることに気づき、大切な一日一日をどう一所懸命に過ごすか、人生の優先順位を更新、変更することを考える。また、新しい可能性を認識する。
  • 人間としての強さ…今までより自分の気持ちに素直に生きようと考える。
  • 他者との関係…自分にとって大切な人との関係を深く考えるようになる。
  • 精神的変容…自然に対する感覚が鋭敏になる。超越的な力を意識する。
  • からだのケア…健康に対する意識が高まり、行動様式が変化する

レジリエンスを促進する要因

レジリエンスを発揮するためにどうしたらよいのか?それはそんなに難しいことではありません。がんになって悲しみなどの負の感情が気持ちの中に渦巻いている方も少ないと思います。しかし、これらの負の感情は悪いものではなく、むしろ病気と向き合うために必要な感情です。悲しむことがこころの回復を助けることは、特に遺族の研究で科学的に証明されています4)

大切なのは、無理に前向きになろうとせず、現在の自分の気持ちをあるがままに認めることです。できれば誰かに苦しい胸の内を話せるといいですね。

以下は、レジリエンスに関して科学的な研究で示されている内容です。ご参考にされてください。

がんによるストレスに対してこころを回復させるための必要な要因がいくつかあります。例えば、社会的支援、コーピング(対処法)、ポジティブ感情、意味づけ、首尾一貫感覚、楽観主義などが代表的なものとして挙げられます。これらは周囲から【社会的支援】を受け、実践することで自分に合った【対処法】を見出し、実践を繰り返すことで、自分自身や物事に対し肯定的な感覚【意味づけ】【ポジティブ感情】【首尾一貫感覚】が備わり、前向きになることで【楽観主義・希望】が生まれ、新しい価値観・世界観を発見する一連の流れを構成します。これらを育み維持することがレジリエンスを促進する要因と考えられています1)。 以下に、それぞれの促進要因について紹介します。

社会的支援

社会的支援は、ストレスに対処するため周囲から支援を受けることで5)、がん患者さんの幸福感を改善し、こころの苦痛を和らげるためにとても重要なレジリエンス促進要因の一つです2)。がん患者さんはこころの苦痛が大半を占めると絶望感を覚えますが、社会的支援を受けることでそれを防ぐ可能性があります2)。配偶者や家族、友人は、がん患者さんがつらい体験に対処することを助けてくれます2)

社会的支援は、主に道具的支援、情報的支援、感情的支援の3つの支援に分類されます5)。がん患者さんにとって、このような社会的支援がいつもそばにあるという信念を持ち続けていることが大切です。

道具的支援

例えば、治療による副作用や後遺症に対処するためのスキンケア商品や口腔ケア商品、衛生用品など物質的援助の他、自治体からの医療用ウィッグや乳房補正具購入費用助成金や治療用弾性着衣購入のための療養費支給、健康保険団体からの傷病手当金などの経済的援助が含まれます。

情報的支援:

療養生活の中で、問題に対処するための情報提供を指します。例えば、主治医や看護師など医療機関からの治療に関するアドバイス、ハローワークからの就労支援情報、国立がん研究センターの「がん情報サービス」や当サイトのような情報提供サイト、がん患者支援団体等によるオンラインセミナーなどが含まれます。

感情的支援:

がん患者さんに対する共感や思いやり、安心などが含まれます。例えば、がん患者会や患者サロン、カウンセリングのような感情的な表現や発散の機会を提供します。

ポジティブ感情

ポジティブ感情は、問題を解決するためのアイディアを生み出します。代表的なものとして喜び,感謝,安らぎ,興味,希望,誇り,愉快,鼓舞,畏敬,愛情の10種類があるとされています6)

ポジティブ感情は睡眠や運動、リラクゼーション、休息、自然環境で過ごすなどの回復活動を促進する可能性があります5)。また、ポジティブ感情と主観的な幸福感は、自己申告による健康の改善、罹患率の低下、痛みの低減、長寿に関連していることが示されています5)

がんに関しては、例えば、ポジティブ感情と笑いの組み合わせが精神的苦痛を和らげ、がんへの適応を促進することに役立つことが報告されています2)

※“笑い”に関しては、当サイトの「がんの治療に対する笑いの効果と療養生活への取り入れ方」、で紹介しています。

意味づけ

がん患者さんにとって“意味づけ”とは、自分の体にがんが存在するという事実を認識して、“がんが自分に教えてくれたことは何か“という、がんへの適応を説明することです。例えば、もし肥満や運動不足、不健康な食事を繰り返し、検診でがんが見つかった場合、その人にとって診断は改めて自分の健康を見直すためのきっかけになります。あるいは、がんをきっかけに周囲からのサポートや新しい出会いなどがあると、自分が他人との関係の中にいると気づきます7)

つまり、がん診断後の経験の中から何らかの意味に気づけた場合、そのこと自体が個人の成長としての表れであり、ストレスへの適応に関連します。

しかし、あえて意味づけを試みることや、意味を探求することはかえって逆効果となり、精神的苦痛や精神機能の低下を招きます2)。ある報告では、意味づけが難しい場合は楽しいことや楽しかった経験、これからの成長に時間と労力を費やすことをすすめています2)

首尾一貫感覚

首尾一貫感覚は、「健康崩壊状態からの回復には個人の首尾一貫感覚(SOC:Sense of Coherence)が重要」と提唱した、医療社会学者のアーロン・アントノフスキー博士の健康生成論に基づくものです。SOCには把握感、処理可能感、有意味感の3つの感覚がありますが、これをわかりやすく解説した著書、『人間にとって健康とは何か』(斎藤環著 PHP研究所)8)から引用すると、以下の説明になります。

把握感: 自分の置かれている状況を一貫性のあるものと理解し、説明や予測が可能とみなす感覚のこと

処理可能感: 困難な状況に陥っても、それを解決し、先に進める能力が自分に備わっているという感覚のこと

有意味感: 今行っていることが、自分の人生にとって意味のあることであり、時間や労力など一定の犠牲を払うに値するという感覚のこと

『人間にとって健康とは何か』(斎藤環著 PHP研究所)より引用

コーピング(対処法)

コーピングは、ストレスの原因に対してうまく対処する方法のことで、がん患者さんにとってレジリエンスのために重要な要素の一つです。コーピングを実践したがん患者さんは、生活の質の改善や精神的苦痛の軽減を示します2)。例えば、乳がん手術や薬物療法による脱毛、皮膚障害などの外見の変化は、患者さんによっては重大なストレス要因です。その対処のために乳房を再建することやウィッグの着用することは、外見イメージを取り戻せるだけではなく、精神的な満足感(自尊心)が得られ、結果的にからだの健康回復につながります9)

コーピングは、問題焦点と情動焦点、認知再評価型、社会支援探索型、気晴らし型の5つの種類があります。

問題焦点コーピング:ストレスの原因に対して自らが解決のために行動する方法です。周囲の協力を求めることやストレス源からの回避行動も含まれます。

情動焦点コーピング:感情を発散あるいは抑制することによるストレス軽減方法です。

認知再評価型コーピング:ストレスの原因に対して、これまでの見方や考え方を転換する方法です。

社会支援探索型コーピング:他者や信頼する人に相談したり、アドバイスを求める方法です。

気晴らし型コーピング:適度な運動や趣味などのいわゆるストレス解消方法です

コーピングやアピアランスケアに関しては、当サイトの「ストレスの対処法(コーピング)と実践のためのポイント」、「がん治療中のアピアランス(外見)サポートと関連アイテム」で紹介しています。

楽観主義・希望

楽観主義は、様々な変化に対して自分にとって好ましい期待を抱くことを意味し、その対極にある不利な方向へ物事を考えないことをいいます。楽観はがんへのより良い適応と幸福感の向上、苦痛の軽減、治療に前向きになることにつながることが言われています2)

希望を持つことも自分にとって好ましい期待を抱くという点から楽観と同義と言えます。希望はがんと闘うための最も強力な対処方法の一つとみなされています2)

がん治療中に希望を促進するための、以下の6つの方法が特定されています2)

  • 意味のある関係を築き、維持すること
  • 前向きな姿勢を維持すること
  • 現在の瞬間に生きること
  • 達成を促進すること
  • 精神的なつながりを感じること
  • 生きていることを予測すること

レジリエンスの影響を報告した臨床研究

これらのレジリエンス促進要因は、ストレスに適応するための効果的な手段を提供し、ストレスを弱めることで、感情的(例えば不安、抑うつ、怒り)な行動を減らすことで機能すると考えられています5)。実際にレジリエンスの影響を調べた多くの臨床研究では、がん患者さんは生活の質(QOL)の改善や精神的苦痛の軽減などを示しました2)

例えば、同種幹細胞移植手術を受けた血液がんの患者さんの中でレジリエンスの高い患者さんは不安やうつ病が少ないことが示されています2)

心的外傷後成長についても同じく生活の質、精神的苦痛の軽減あるいは不安の軽減などと関連していることが報告されています2)

また、レジリエンスによる新しい価値観・世界観の発見も精神的苦痛を軽減することが示されています。例えば、女性による乳がんと乳房切除術の経験は、心的外傷後成長のきっかけとなり得ることが確認されていますが9)、乳がん患者さんを対象とした研究では、がんの診断後1年以内の新しい価値観・世界観の発見により、最初の診断から5〜8年後に精神的苦痛やうつ病の軽減など、より良い適応が期待できました2)

レジリエンス促進要因はこころの苦痛からの保護要因でもあります。例えば、乳房切除後の乳がん患者さんにとって心理的レジリエンスは、自己否定感を過度に発達させることを防ぐために重要な要素でした9)

レジリエンスを呼び起こすための実践例

このように、レジリエンス促進要因によって精神的苦痛が和らぎ、新たな価値観・世界観を見出す機会になることから、レジリエンスを呼び起こすための実践は、がんと診断された直後の早い段階から開始するべきと考えられています1)。しかし、がん患者さんにとって適切なレジリエンス促進要因は性格(例;ポジティブ感情、楽観主義・希望、SOC)や対処能力(例;社会的支援を受ける)によって一人ひとり異なります。性格的に強い回復力を持つがん患者さんもいれば、弱い患者さんもいます。また、ご家庭や職場などの生活環境の問題、身体的な問題なども少なからず影響します。性格的に回復力が強いがん患者さんでさえも、ストレスを受ける環境が続いてしまうと弱まることもあります。

専門医とのカウンセリング

このような自力での回復が難しく、他人からの支援が必要ながん患者さんに対しては、専門医師や看護師、臨床心理士などの医療スタッフによって行われている継続的な心理教育プログラムを受けることが薦められます。専門家による支援は、困難な状況に対応するための建設的で前向きな感情パターンを構築することに焦点を当てることができます9)。 国内の診療科では、腫瘍精神科を受診することができます。例えば、がん研有明病院(東京都江東区)の腫瘍精神科レジリエンス外来では、週1回、約50分のカウンセリングを4~8回行います。カウンセリングでは、生い立ちから病気になるまでの間、自分がどのような人生を歩んできたか、何を大切にして来て、何を目指してきたかを振り返ります。また、がんになってから何を感じ、こころがどのように変わっていったか、失ったものや今大切に思うことなどを整理していきます。この作業を繰り返しながら、医師はがん患者さんのこころの状態を理解し、患者さんが新たな価値観・世界観を築き上げるまでの支援を継続します。

プレハビリテーション

カウンセリングはレジリエンスを促進する社会的支援の一つです。カウンセリングにより、対処法を見出し、肯定的な感覚が備わることで、前向きになれる可能性があります。このような社会的支援は他にも適切な運動や栄養摂取、衛生、リラクゼーションなど、がん患者さんにとって健康的な行動を習慣づけるための様々な手段を提供します。健康的な行動は、こころの健康との好循環を生むことから、カウンセリングと同じ時期のがん診断直後から始めることが望ましいと考えられます。

最近は“プレハビリテーション”というリハビリテーションプログラムがあります10,11 ,12)プレハビリテーションは、手術後の早期回復や合併症の低下を予防するため、診断後から治療前までの間に行われますプレハビリテーションには運動や栄養管理、ストレス管理等が含まれています。そのため、治療後も継続することが望ましいと考えられます。 海外ではプレハビリテーションプログラムに関する臨床効果が報告されていますが、国内ではまだ普及していない現状です。その理由の一つとして医療現場のマンパワー不足があります。プレハビリテーションを行うためには担当医や看護師をはじめ理学療法士、管理栄養士、臨床心理士など様々な専門家が関わることが求められますが、現在の医療環境で人手が足らず、その体制を整備することは難しいとされています。

ピアサポート

そこで近年、ピアサポートを利用することが注目されています3)。ピアサポートとは、がん患者さんやがんを経験した方同士が悩みや不安などを解決するためお互い助け合うことを言います。ピアサポートは全国のNPO法人や一般社団法人などのがん患者支援団体や、がん診療連携拠点病院、がん相談支援センターなどで行われています。例えば運動についてはがん患者支援団体等がヨガやフィットネスをはじめとする教室を提供しています。栄養に関しては、情報サイトや書籍などで体調に合わせたレシピが紹介されています。患者さん同士のおしゃべり会やがんサロンなどの集いは、がん患者支援団体主催の交流会や、がん診療連携拠点病院のがんサロンで行われています。最近ではオンラインによる交流会が拡がりを見せていて、遠く離れた場所にいても参加したい交流会に申し込むことできるようになりました。

このように、ピアサポートによる支援もレジリエンスを促進する要因となるため、積極的に利用することもよいでしょう。

※全国のがん患者会、患者サロンに関する詳細情報については、当サイトの「がん患者会、患者サロン」で紹介しています。

関連情報

がん患者会・患者サロン(内部リンク)

【監修】清水 研 先生(がん研究会有明病院腫瘍精神科部長、精神科医、医学博士)

著書紹介:

「他人の期待に応えない ありのままで生きるレッスン(SB新書)」

「もしも一年後、この世にいないとしたら(文響社)」

「がんで不安なあなたに読んでほしい(ビジネス社)」

「人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話(稲垣 麻由美 著 KADOKAWA)]

参考文献

1) Interventions to Promote Resilience in Cancer Patients. Ludolph P, Kunzler AM, Stoffers-Winterling J, Helmreich I, Lieb K.Dtsch Arztebl Int. 2019 Dec 23;51-52(51-52):865-872.

2) Resilience in Cancer Patients. Seiler A, Jenewein J.Front Psychiatry. 2019 Apr 5;10:208.

3) がんにおける気持ちの辛さとレジリエンス ―ピアサポートの可能性― 吉川 栄省 日本医科大学基礎科学紀要 第49号p39-50(2020)

4) Treatment of complicated grief: a randomized controlled trial. Shear K, Frank E, Houck PR, Reynolds CF 3rd.JAMA. 2005 Jun 1;293(21):2601-8.

5)Resilience and immunity. Dantzer R, Cohen S, Russo SJ, Dinan TG.Brain Behav Immun. 2018 Nov;74:28-42.

6) ポジティブ感情概念の構造 1, 2 ―日本人大学生・大学院生を対象として― 菅原 大地、武藤 世良、杉江 征 心理学研究 2018 年

7) がん患者の意味づけに関する研究の概観と展望 雲財 啓、斎藤 誠一 神戸大学大学院人間環境発達学研究科研究紀要第12巻第11号 2018

8) 人間にとって健康とは何か(斎藤環著 PHP研究所)

9) Psychological Resilience as a Protective Factor for the Body Image in Post-Mastectomy Women with Breast Cancer. Izydorczyk B, Kwapniewska A, Lizinczyk S, Sitnik-Warchulska K.Int J Environ Res Public Health. 2018 Jun 5;15(6):1181.

10) High-intensity interval training in the prehabilitation of cancer patients-a systematic review and meta-analysis. Stefano Palma, Timothy Hasenoehrl, Galateja Jordakieva, Dariga Ramazanova, Richard Crevenna Support Care Cancer. 2021 Apr;29(4):1781-1794.

11) Multimodal prehabilitation in colorectal cancer patients to improve functional capacity and reduce postoperative complications: the first international randomized controlled trial for multimodal prehabilitation. Stefanus van Rooijen , Francesco Carli , Susanne Dalton , Gwendolyn Thomas , Rasmus Bojesen, Morgan Le Guen , Nicolas Barizien, Rashami Awasthi , Enrico Minnella, Sandra Beijer , Graciela Martínez-Palli , Rianne van Lieshout , Ismayil Gögenur, Carlo Feo, Christoffer Johansen, Celena Scheede-Bergdahl, Rudi Roumen, Goof Schep, Gerrit Slooter BMC Cancer. 2019 Jan 22;19(1):98.

12) Prehabilitation before major intra-abdominal cancer surgery: A systematic review of randomised controlled trials. Gwendolyn Thomas, Muhammad R Tahir, Bart C Bongers, Victor L Kallen, Gerrit D Slooter, Nico L van Meeteren Eur J Anaesthesiol. 2019 Dec;36(12):933-945.